01. 魏氏樂譜 / 魏子明編輯 ; 平信好考訂
魏氏樂譜 / 魏子明編輯 ; 平信好考訂
江戸中期、京都で活躍した明楽家・魏皓が出版した明楽稽古用の楽譜(刊本)です。
魏皓は、寛文6年(1666年)に長崎へ渡来し、日本に帰化して鉅鹿姓を名乗った魏之琰(ギ・シエン, 1618-1689)の曾孫にあたる人物です。
あらかじめ印刷されているのは歌辞(漢字)と唐音(カタカナ)のみで、音符(工尺譜)は師匠の指南を受けて学習者が手書きでその右欄に記入するようになっています。(写真の『魏氏樂譜』には、月琴の工尺譜や各曲の調性などが記されています)。また、縦のマスは音の長さを表し、一マスに何文字の歌辞または音符が記されるかによって、その音の長さが決まります。
楽譜の巻頭と巻末には、儒者の竜草盧(1715-1792)、宮崎筠圃(1717-1774)、書家の関世美(1718-1783)、そして竜草盧の弟子で漢詩人の岡崎廬門(1734-1787)の序跋が寄せられています。筠圃、世美、廬門の3名は魏皓から明楽の指導を受けたとされ、明楽はこうした文化人の交友の中で広まりました。
『魏氏樂譜』は当館の他、国立国会図書館、東京藝術大学附属図書館などの図書館にも所蔵されています。
(出典:『江戸文人と明清楽』中尾友香梨, 2010年)
魏氏樂譜 | |
作者 | 魏子明編輯 ; 平信好考訂 |
出版事項 | 京都 : 錢屋七郎兵衛 ; 大坂 : 大野木市兵衛 ; 江戸 : 須原屋茂兵衛 , 明和5 [1768] |
形態 | 12, 2, 49, 2丁 ; 18.9×11.2cm |
注記 |
帙の題簽題: 魏氏樂譜 : 月琴 四周単辺有界 10行格子升, 内匡郭[16.0×10.1cm] 折本, 帙入り 付訓あり。右傍:片仮名 朱墨の書き入れあり |
2014年6月25日