「タカラヅカ 現実から生まれた夢世界」展示貸出にあたって
2020年夏、旧豊島区庁舎跡地にオープンする複合施設ハレザ池袋。その前年、2019年秋に先行オープンする新劇場の杮(こけら)落としには、宝塚歌劇による公演が予定されています。
団員は女性のみ、独自の美意識で絢爛豪華に繰り広げられる舞台に、熱烈なファンも多い宝塚歌劇ですが、2014年には100周年を迎えた長い歴史を持つ歌劇団だということは、案外知られていないかもしれません。さらには、その初期から積極的に洋楽を導入し、一般市民への洋楽普及の一端を担ったと言っても過言ではなく、洋の東西を問わない演目を上演し続ける姿勢は現在も変わっていません。近年では、社会学的見地からも研究が行われています。
創設者・小林一三は、その当時洋楽を基礎に教育を受けてきた少年少女が、学校を離れると洋楽趣味を楽しむような機会がない現実、さらに歌劇を熱心に観劇する音大生がいるという現実を見、また音楽演劇の可能性の大きさを東京や大阪での自身の観劇体験で感じてもいました。加えて、経営者としての先見の明が、少女のみで構成される「日本的歌劇」を生み、舞台上に夢のような世界を繰り広げました。
今回の展示貸出では、当館が所蔵するほとんどすべての宝塚関連資料を開架します。独自の発展を遂げてきた、稀有な存在の宝塚歌劇。ちょっとその世界をのぞいてみませんか?